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銀座環境会議

【これからのRの話⑧】容リ法の意義と問題点

私たちの生活における3R(リデュース、リユース、リサイクル)の中で、やたら存在感の大きなリサイクル。より優先されるべきとされながら、影の薄いリデュースやリユース。前回は、我々の新品信仰、過剰包装といった私たちの消費行動の観点からその背景をお話しました。


今回は、少しカタく、法律の観点からお話します、私たちは日々資源の種類ごとに一生懸命分別をしていますし、レジ袋も有料となりマイバッグを使うようにしたりしています。これらは、意識していない人もいるかも知れませんが、「包装容器リサイクル法」(以下容リ法)という法律に則った行動と言えます。


私たちの生活に実はとても関わっている容リ法

この法律は、1995年6月に制定されました。前々回の記事でお話の通り、「最終処分場が足りなくなる」という危機感から生まれたもので、持続可能な社会づくりといったより高次な概念が十分に視野に入っていたわけではありませんでした。ただ、そうであっても、それまでもっぱら自治体が追っていた家庭ごみの処理責任の一端を、生産者や販売者といった事業者に負わせたことは、大きな転換でした。生活者の努力もあり、リサイクル率は向上し、最終処分場の残余年数も伸びました。


一方で、容リ法では発生抑制は視野に入っていない、あるいはこの建付けでは発生抑制につながらない、という指摘もあります。これは2R(リデュースとリユース)に関わってくるところです。


ごみの発生抑制にあまりつながっていない?

まず、事業者が処理責任の一端を負うとはいえ、それはごく一部です。洗浄・分別は消費者が、収集・運搬・保管は行政が行った後の、再商品化についてのみ事業者が責任を負う仕組みです。個々の企業が再商品化を行うわけではなく、「指定法人」と呼ばれる団体を通じて、業者に委託金を払ってやってもらうかたちです。


上記の通り諸々の行程は済んでいるので、委託金の金額は大きなものではなく、ごみ自体の発生を抑制する動機はそれほど生まれません。これは、消費者もあまり責任を取っていないということでもあります。ドイツなどでは、事業者が回収段階から責任を持ち、そこにかかる費用は商品価格に反映されます。そのようなかたちであれば、事業者・消費者双方が、ごみ発生抑制、減量に努めるでしょう。


公平な負担になっているか?

また、事業者間での負担が不公平だとしてスーパーマーケットチェーンのライフが違憲訴訟を起こしたこともありました。真の目的はこの容リ法の問題点を訴えることだっということで、例えば飲料であれば、販売をする小売業者に対して容器を選択できる飲料メーカーの負担が小さすぎる、容器の原料製造事業者に負担がないのはおかしい、委託金逃れをするただ乗り事業者がいる、といった問題点を提示しました。

事業者も消費者も負担していないなら、誰が負担しているのか。それは行政です。日本では行政の負担がとても大きくなっています。そして、行政予算はそもそもは私たちの税金です。これは、ペットボトルを毎日何本も消費する人も、水筒を持ち歩いてペットボトルを購入しないようにしたり、重くてもリユースのびんを購入したりしている人も、同様の負担をすることを意味します。


責任の所在を明確にせずに、行政任せにし、なんとなくみんなで負担する…安易な国民性議論は慎むべきですが、極めて日本的な姿が浮かび上がってくるとは言えないでしょうか。


※以下参考とさせていただきました。より詳細を知りたい方はご覧ください。


日弁連:容器包装リサイクル法改正に関する意見書

環境市民:みどりのニュースレター2012年11月号 http://www.kankyoshimin.org/newsletters4public/201211.pdf

環境管理:容器包装リサイクル法の合憲性


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