気候変動という言葉を知らない方はいないかと思います。”気候危機”はどうでしょうか。こちらも何となくわかる、想像がつく、という方も少なくないかと思います。気候変動のスピードが想定以上に早く(対策が想定以上に遅れており)、また気候変動の影響が想定よりも甚大である可能性があることから、この言葉が使われています。
では”気候正義”と”気候賠償”はどうでしょう。特に後者を知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。
この夏パキスタンで起きた大洪水では、国土の1/3(本州に匹敵) が水没し、3,300万人以上(7人に1人)が被災し、1,700人以上が死亡しました。被災家屋は100万戸を超え、洪水が引いてたあとも感染症が拡大しました。
こうした異常気象と温暖化の関連については、「この洪水は温暖化のせい」「この干ばつはそうでない」と個別に明確にすることは難しく、特に「温暖化のせいで●%雨が増えた」など定量化して評価することは非常に困難です。よって科学者は断定的な物言いはしませんが、世界気象分析グループは、温暖化の影響である可能性が”極めて高い”としています。
これほどの被害を受けたパキスタンですが、世界人口の3%に迫る人口を有しながら、CO2の排出量は地球全体の1%にも及びません。つまり、国別排出量は小さく、特に国民1人当たりCO2排出量は非常に小さいのです。
上記国民1人あたり排出量は2020年のデータです。見てみると、いわゆる先進国にも必ずしも上位でない国々があることに気がつくと思います。再エネ推進に熱心な国々です。しかし、現在の温暖化はこれまでに排出された温室効果ガスの蓄積によるものです。歴史的経緯も含めれば、そうした国々も含めた先進国の責任の大きさがより明確になります。
11月に開催されたCOP27(第27回国連気候変動枠組条約締約国会議)で、途上国から問われたのがこの責任と被害の不均衡についてでした。途上国は、歴史的にも現在も地球温暖化に小さな責任しかないにも関わらず、災害対策が万全でないこともあり、その影響を最も痛切に被っています。先進国がこの現実に真剣に向き合い、支援を強化するよう途上国が求めたのです。そのキーワードが”気候正義”であり、”気候賠償”です。
出典:https://www.opendemocracy.net/en/oureconomy/the-case-for-climate-reparations-is-now-irrefutable/
”損失と損害”への賠償を求める途上国と先進国の間で会議は難航しましたが、最終的に途上国が長年要望してきた、被害を受けた途上国を支援する新たな基金の設立に合意したことを受けて、”歴史的”とする意見もあります。しかし、その具体的な内容はCOP28で議論される予定で、支援の規模等を巡って途上国と先進国の間で紛糾することが懸念されています。
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被災者は気の毒だが、防災体制が万全でないのは国の責任ではないか、と考える人がいるかもしれません。そもそも貧しい国が貧しいのはなぜでしょうか。国土が、自然環境が、地政学的に、紛争があって…等々様々な見方があるかもしれませんが、「誰かが貧しいのは誰かが豊かだからだ」ということも言えます。理由の全てではなく、一面の真理かもしれませんが、厳然たる真理です。日本国内の格差においても同じことが言えます。
次回はこの点も踏まえつつ、気候正義と食料問題について記します。
気候正義とか気候賠償について初めて詳しく学んだ気がします。 そしてこれから先の未来にできることをコツコツとしていきたいと感じました。
何時もながら、切り口が流石だなぁと思いました。
今回の洪水の根本的なとこに目を向ける必要がありますね。
すさまじい洪水で破壊された生活・・・、それを再建するためには途方もない忍耐力とたくさんのサポートが必要。救援への協力と同時に、これを引き起こさないために根本的なところにも目を向けたい。今後もキーワードとなる”気候正義”、”気候賠償”に注目します!「2020年 CO2 二酸化炭素排出量 - 1人当たり」 は改めて見て、はっとしますね。パキスタンは121位、そしてこの洪水で国土の1/3が冠水・・・。(平和村メンバー)