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銀座環境会議

地球は悲鳴などあげていない ~SDGsに関する誤解①~

更新日:2021年6月15日

ここ数年のことではありますが、最近とみにメディアでSDGs(=Sustainable Development Goals =持続可能な開発目標)のことがよく取り上げられています。そして、その多くで見られるのが、「地球にやさしく」「地球にいいこと」…もう少し切迫感を持った表現では、「地球がもたない」「地球が悲鳴をあげている」といった表現です。


世界環境デーの6月5日、新聞にひときわ目を惹く全面広告が出ていました。こちらは「地球を喜ばそう」とあります。この広告を出した会社がどんな会社なのか知りませんし、敢えて調べることもしません。お話ししたいのはこの広告に見られるようなコミュニケーションについてだからです。


「地球にやさしく」の系統の表現は、以前よりよく使われている表現ですし、使う方は環境問題に関する高い意識や使命感とともにこれらの表現を使っていることと思います。私自身(代表理事平野)も口頭ではこうした表現を使ったこともあるかと思います。しかし、少なくとも銀座環境会議のウェブサイトやブログ等の発信においてこられの表現は用いていません。


端的に言って、地球は悲鳴などあげていません。以下に土木学会地球環境委員会ニュースレター 54 号 v.3 Aug.2017に掲載の、同委員会の河村 明委員長(首都大学東京大学院都市環境科学研究科)の言葉を引用します。


地球は、実は、その半生の間に隕石による全球蒸発を何度も経験し、また全球凍結も何度か経験しているのであり、「地球を守ろう」と保護者のようなことを言うこと自体、地球の 半生を知らない人間の傲慢さと言えます。「地球にやさしく」しなければならないのは、決して地球のためではなく、環境変化に耐えられない脆弱な現代文明の恩恵にあずかっている我々を守るためであり、その言葉は本来「人間にやさしく」と言い換えるべきでしょう。(引用終わり)


かつて地球を支配していた生物は恐竜でした。よく隕石の衝突で恐竜が絶滅した、と言いますが、より正確には隕石の衝突による気候変動(気温低下)で絶滅したのではないか、とされています。今度は気温上昇で現在の支配者である人類が絶滅したとしても、とにかく地球は地球として存続します。


SDGsがいう「Sustainable=持続可能な」は、”人間にとって”ということです。他の生物はどうなってもよいということではありませんが、他の生物に壊滅的な影響を与えるような環境下では人間も相当の打撃を受けているでしょう。あるいは、人類が絶滅しても別の生物が地球の支配者となるだけでしょう。そして、誰が支配者でも、何色の空でも、気温が何度でも、地球は地球です。


「地球にやさしく」も別に否定しません。あまり気負わずに環境について考えるには、それくらいの言葉もよいのかも知れません。しかしそのことが「人類の存続の問題である」という切迫性を、悪い意味で和らげてしまうことには懸念があります。


銀座環境会議では、SDGsの本質を体感する「2030SDGsゲーム」を行っています。詳細は活動紹介ページからご覧ください。






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